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暗闇の中で、抱きしめたハンドバッグ その1

  •  投稿日:2015-12-09
  •  カテゴリ:ブログ
小さい頃の話です。


夏休みになると、母方の祖父の家へ1か月ほど、母や弟と一緒に
帰省するのが、私の毎年の恒例行事でした。

都会にはない、どこまでも広くて青い空。
目の前に広がる緑のミカン畑。
遠くにある穏やかな海。
海があるので、魚介類も新鮮で美味しい。
スイカだっていつもは小さいサイズを、兄弟で分け合うのに
ここに来れば「もう、スイカ見たくない!!」っていうほど、毎日食べ放題。
どんなに走り回ろうが、大声で騒ごうが怒られない。
いつもいる東京とは180度違う環境が、私はとても大好きで、
成人するまでほぼ毎年帰省していたように思います。

私の田舎では8月のお盆近くになると、親戚まわりをするのが習わしでした。
祖父や母と一緒に、親戚の家に着いて行っては挨拶。
いつも飲めない三ツ矢サイダーや、普段では口に出来ないようなちょっとだけ高級なお菓子が
出てくるのが楽しみで、行っていたようなものでした。

帰省する楽しみは、もう一つありました。

それは親戚の4つ年上のお姉さんの家に、お泊りに行くことです。
私は3人兄弟の一番上なので、甘える対象はいませんでした。
でも、この4つ年上のお姉さんは私を妹のようにかわいがってくれたので
毎年泊りに行って、お姉さんと遊ぶのが待ち遠しかったのです。

小学校4年生か5年生の夏だったと思います。


例年通り親戚の挨拶周りに着いて行ったとき、その翌日に4つ上のお姉さんが、今挨拶に来ている
叔父の家に来ることがわかりました。
祖父や叔父叔母とで、あれよあれよと話が進み、私はこのまま一人で叔父の家に泊まり。
翌日4つ上のお姉さんと一緒に、お姉さんの家に行くことになっていました。

「もう大きいから、1人でお泊りしても大丈夫よねー?」
そう言って私の顔を覗き込む叔母に、「うん!」と強くうなづいた私。
「本当に大丈夫??」と心配する母でしたが、叔母の隣で手を振る私を見て
安心したようで、私ひとりを残し、みんなは祖父の家へ帰っていったのでした。
「あら、お母さんハンドバッグ忘れてるわね。あなたに預けておくから
 お母さんに渡してね。」

母が座っていた座布団の上には、ワイン色の小さなハンドバッグがちょこんと
置いてありました。
お母さんは、いつも何か忘れていくんだから・・・。
私は大人になったような気分で、母のバッグを預かってため息をついたのでした。

----もう、お姉さんだし!----



みんなが帰った後の、叔父の家はとても静かでガランとしていました。
叔父叔母には子供がなく、夫婦二人暮らし。
広い家には二人と私以外は誰もいないんだ、ということが段々とわかってきました。

それでも時間が経てば慣れて行くもので。

叔母と一緒に晩ご飯の準備を手伝って、滅多に出てこないハンバーグを作ってもらったり、
いつもは弟とテレビのチャンネル争いするのに、この日は私の好きな番組を自由に見れたり。
1人の自由も、満喫し始めていました。
私、もう小学生だし。
お姉ちゃんだから、ひとりでも全然平気だもん!
そんな気持ちも湧いてきて、なんだか無敵になった気分。

「明日はお姉ちゃんの家に行って、トランプするんだー」
「去年も作った、かき氷は今年も作るのかなぁ」
楽しい期待で胸が膨らみます。

そんな楽しい時間もあっという間に過ぎて、寝る時間になりました。

私ひとりの布団が、仏壇のある広い客間に敷かれています。
8畳の二間続きなので、ざっと16畳。
その隅っこにポツンと私の布団。
「いつも一人で寝てるって言ってたから大丈夫よね?」とほほ笑む叔母に、
ぎこちなく笑顔で「うん」と返事をしたのを覚えています。
私の返事を聞いて叔母は安心したようでした。

「叔母さんたちは奥の部屋で寝てるから、何かあったら言ってね?」

「おやすみなさい!」

叔父と叔母に挨拶をして、私はひとり、布団に潜り込みました。


長いので、後半へ続きます。
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